「家では解けたのに、組分けテストでは解けなかった」「解き直しは全部できる。それなのに、次の模試でまた止まってしまう」
宿題も頑張っているからこそ、ママも子どもも、何を変えればいいのか分からなくなりますよね。
中学受験の算数で家では解けるのにテストで解けないとき、僕が最初に確かめるのは、ヒントなしのチェックテストと、式や数字の意味を本人が説明できるかどうかです。正解の数だけを見て、復習不足、緊張、やる気の問題と決めつけません。
そして、同じ問題を解き直せるだけで終えず、「どの情報から何を思いつけばいいか」「なぜそれを思いつくといいか」を言葉にしてもらいます。テスト後は、定着が浅い単元から見直します。
この記事では、19年間の算数・数学指導で僕が大切にしている、対話でつまずきを見つける方法と、次の問題へつながる復習を紹介します。主に小学4〜6年生の中学受験家庭向けです。割合の例題は、百分率と小数の関係を学んだ段階を想定しています。
家では解けるのにテストで解けないとき、最初に確かめること
「家ではできる」の中にも、いくつかの状態があります。
- 解説を読みながらなら、式を追える。
- 「何を求めるんだっけ?」と聞いてもらうと、進められる。
- 前に見た問題なら、解き方を思い出して正解できる。
- まだ見ていない問題でも、条件から式を選び、自分で解ける。
どれも学ぶ途中で必要な経験です。ただし、同じ到達点ではありません。家庭での正解とテストでの正解を比べる前に、どこまで一人で進め、どこから支援を受けていたのかを分けてみてください。
チェックテストは、知識と自力で使う力を確かめるために
僕は、チェックテストで本当に身についているかを確かめます。知識が入っているかも含めて確認するためです。
家庭で試すなら、既に学んだ範囲から、本人の今の段階に合う一問を選びます。解説や前の答案は閉じ、まず自分で取り組む。そのあとに、どこで止まったかを一緒に確かめましょう。未習の難問を出して、できないことを証明する時間にはしないでください。
初めからヒントを出すと、どの部分を自力で判断できたかが分かりにくくなります。一方、理解できていないまま放置する必要もありません。自力で確かめる時間と、説明を受けて学ぶ時間を分けることが大切です。
復習直後の正解だけで、模試への対応を判断しない
解説を読んだ直後には、式の順番を覚えていることがあります。それが間違いというわけではありません。ただ、その一回だけで「もう使える」とは判断できません。
範囲の分かる復習テストと、複数の単元が混ざる模試では、何を使うかを選ぶ条件も違います。「割合の練習」と分かっているときに解けることと、単元名を教えられなくても割合の関係に気づくことは、別に確かめる必要があります。
算数の答案と対話から、止まっている場所を見つける
理解が足りないのか、解き方を覚えただけなのか、時間が足りなかったのか、緊張したのか。僕は、答案の見た目だけで決めません。本人と話して聞いていきます。
「なぜその式?」「その数字は何の量?」と聞く
僕が説明を聞くときに確かめるのは、次のようなことです。
なんで、その式が出てきたの?
なんで、ここは割り算するの? 掛け算するの?
この式や、この数字は、何を意味しているの?
答えが合っていても、式の意味が分からないことがあります。逆に、最後の計算は間違っていても、数量の関係は理解していることがあります。必要な支援は、それぞれ違います。
言葉がすぐ出てこないだけで「理解していない」と決めつけないことも大切です。図を指しながら説明してもらったり、問題文のどの部分を使ったか確かめたりして、理解と表現の両方を見ます。
原因を決める前に、確認する場所を分ける
次の表は、対話の入り口を整理したものです。子どもを分類する診断ではありません。一問の中に、複数のつまずきがある場合もあります。
| 見えている状態 | 対話で確かめること | 次に見直す場所 |
|---|---|---|
| 式の意味を説明しにくい | 数字の単位、何を求めた式か、必要な知識 | その関係や知識を、図と言葉で学び直す |
| 同じ問題はできるが、条件が変わると止まる | 何の情報を手掛かりに、考え方を選んだか | 使う条件と理由を言語化し、別の一問で確かめる |
| 時間制限なしなら、理由も含めて解ける | 本番のどの問題・作業に時間がかかったか | 問題の選び方や時間の使い方を先生と検討する |
| 本番で焦り、普段の手順が進まないと話す | いつ焦り、何が分からなくなったと感じたか | 理解の確認と、気持ち・本番の状況への支援を分けて相談する |
時間制限なしで正解したからといって、原因が必ず時間不足とは限りません。既に解答を見ていたか、誰かのヒントがあったかも確かめます。本人の話と、実際に解く様子を合わせて判断しましょう。
同じ問題の正解を、次の問題で使える学びに変える
僕が大切にしているのは、「どの情報から、何を思いつけばいいか」「なぜ、それを思いつくといいか」を言語化することです。
「割合だから掛け算」のように単元名と操作を結びつけるだけでは、求める量が変わったときに困ります。分かっている量と、分からない量の関係まで確かめましょう。
例題①:240ページの本の30%は、何ページ?
ここからは、考え方を確かめるために作った例題です。実際の生徒の答案や成果事例ではありません。
全部で240ページの本があります。全体の30%を読みました。読んだのは何ページですか。
全体を1とすると、30%は0.3です。240ページをもとにして、その0.3に当たるページ数を求めます。
240×0.3=72。答えは72ページです。
本全体:240ページ=100%
濃い緑の部分:読んだ72ページ=全体の30%
ここで確かめたいのは、72という答えだけではありません。
- 240は、何のページ数?
- 0.3は、何を表している?
- なぜ240に0.3を掛けると、読んだページ数になる?
「30%を0.3に直す」はできても、240をもとにしていることが曖昧なら、そこを説明し直します。全体が100%なので、1%分は240÷100=2.4ページ。30%分は2.4×30=72ページ、と関係から確かめることもできます。
例題②:72ページが全体の30%なら、本は全部で何ページ?
本を72ページ読みました。これは本全体の30%です。本は全部で何ページありますか。
数字が似ていても、今度は全体のページ数が分かりません。「前も掛け算だったから72×0.3」とすると、知りたい量とは違う計算になります。
全体のページ数を□とすると、□×0.3=72。だから、全体は72÷0.3=240ページです。240×0.3=72で、元の条件にも合っています。
ここで言葉にするポイントは、「読んだ部分と、その割合が分かっている。分からないのは、もとにする全体」という関係です。30%だから掛け算、ではありません。
「72は全体? 読んだ部分?」「今、何を求めたい?」「どの関係なら、分からない量を表せる?」と確かめます。説明できたら、別の問題で本人がその関係に気づくかを見ます。
5STEPでは、解き方だけでなく使う条件まで取り出す
僕が伝えている5STEPを、この復習に当てはめると次のようになります。
- 解説を徹底理解する。数字・式・図が、どの量や関係を表しているかまで確かめる。
- 解答に必要なポイントを抽出する。全体・部分・割合のうち、分かるものと求めるものを分ける。
- なぜそのポイントでうまくいくかを分析する。「全体×割合=部分」という関係から、求めたい量を導ける理由を考える。
- どんなときに思いつけばよいかを特定する。問題文のどの情報から、全体と部分の関係に気づくかを言葉にする。
- 復習する。解説や誘導なしで、別の問題でも関係を選んで解けるか確かめる。
文部科学省の学習指導要領Q&Aでも、算数の問題を数学的に表現して解決することや、言葉で考えを伝え、過程と結果を振り返ることを重視しています。これは僕の5STEPの効果を証明する資料ではなく、考え方を表し、振り返る学習の大切さを確認する参考資料です。小・中学校学習指導要領Q&A・算数、数学(文部科学省/本文PDFへの案内)
テスト後は、定着が浅い単元から復習する
塾の宿題が多いなか、テストの間違いを全部、同じ分量でやり直そうとすると、それだけで手いっぱいになります。
僕の考えは、定着が浅い単元から取り組むことです。ここでいう浅さは、得点率だけで決めません。式の意味を説明できない、解法を自分で選べないなど、対話とチェックで確かめます。
「解けなかった」から、直す内容を一つ具体化する
割合なら、「割合が全部苦手」ではなく、「問題が変わると、もとにする量を見つけられない」と整理する。復習すべきことが具体的になります。
次のようなメモにして、先生と相談してみてください。
- 止まった場所:何を求めるかは分かるが、全体と部分を取り違えた。
- 学び直す内容:問題文の量を図へ対応させ、「全体×割合=部分」を説明する。
- 次の確認:求める量の違う問題で、関係から自力で式を選ぶ。
これは復習メモの作り方の例です。全員が同じ単元から始めるという意味ではありません。本人の理解、塾の進度、負担を合わせて、必要な問題を選びましょう。
丸がついた後も、別の問題で自力の確認を
解説を写して正解になったことと、身についたことは分けます。本人の段階に合う別の問題で、式の意味と選んだ理由を説明できるか確かめましょう。
僕は、初見の問題で本人が考えられることを大切にしています。全部の難問が解けなければ復習を終えられない、ということではありません。今学んでいる関係を、本人に合う問題で使えるかを見るということです。
一問できたことだけで、その単元のあらゆる問題に対応できるとは判断しません。今回できた範囲と、次に確認する範囲を分ければ、復習を際限なく増やさず進められます。
落ち込む子には、一緒に答えへ進む経験から
「僕はテストだとできない」と感じている子に、さらに「一人でやって」とだけ求めても、取り組む気持ちが続かないことがあります。
僕は、成功体験が乏しい子には、まず一緒に答えまで導くことから始めたいと考えています。一人で最後まで答えを出せなくても、問いかけに答えながら進めれば、「あ、できるかも」という気持ちの入り口を作れるからです。
支援してできたことを、自力でできたことと混同しない
例えば、先生と一緒に全体と部分を整理できたら、次は本人に先に整理してもらう。止まったところだけ支え、最後に別の問題で自力の確認へ進む。このように、支援を少しずつ減らします。
「先生が助けたから、できたうちに入らない」と、その一歩を打ち消す必要はありません。かといって、一緒に解けた直後に「もう一人で大丈夫」と判断もしません。
学ぶための支援と、身についたかを確かめるテスト。両方が必要です。できるかもしれないという気持ちを、次に自分で条件を整理する行動へつなげていきましょう。
ママが、すべての問題を教える役にならなくていい
ここで紹介した問いかけは、僕が指導で使っているものです。ママが毎日の宿題で、全部同じように聞かなければいけない、という話ではありません。
焦るほど教え込む時間が増え、親子で苦しくなるなら、答案の診断や学び直しは先生へ任せてください。ママが算数を説明できないことを、成績が伸びない原因と決めつけなくて大丈夫です。
相談するときは、テストの問題と答案、家でやり直した答案を用意し、解き直しの際に解説やヒントを使ったか、本人がどこで困ったと話したかを伝えると、状況を整理しやすくなります。分からないところは、先生と一緒に確かめましょう。
今日の独習課題:掛け算と割り算を、関係から選べる?
割合を学んだ子は、解説を閉じて、次の二問に取り組んでみてください。まだ割合を学んでいない子は、既習の単元で同じように「何を求めるか」「なぜその式か」を確かめましょう。
① 全部で200ページの本の40%を読みました。読んだのは何ページですか。
② 全部で200ページの本を80ページ読みました。全体の何%を読んだことになりますか。
数字を書くだけでなく、全体・部分・割合のうち何が分かり、何を求めるかを説明します。前の問題と同じ順番で計算するのではなく、条件から選んでください。
取り組んだ後に、答えと考え方を確認する
① 200×0.4=80。答えは80ページです。全体に割合を掛けて、読んだ部分を求めています。
② 80÷200=0.4=40%。読んだ部分が全体に対してどれだけかを求めています。答えは40%です。
80や200が何を表すか、なぜ掛けるのか・割るのかも説明できましたか。答えだけ覚えていたなら、図と言葉で関係を確かめ直しましょう。
中学受験算数で、家の正解がテストにつながらないときのFAQ
解き直しで全部正解なら、復習はできていますか?
正解は一つの確認ですが、それだけでは判断しません。ヒントや解説の記憶に頼らず、式の意味と選んだ理由を説明し、本人に合う別の問題でも使えるか確かめます。
本番だけできないのは、緊張が原因ですか?
緊張の可能性はありますが、答案だけで決めつけません。本人と話し、知識・式の意味・考え方の選び方・時間の使い方も確かめます。複数が重なる場合もあります。
塾の宿題を増やした方がいいですか?
まず定着が浅い単元と、止まる場所を見つけます。意味が分からないまま問題数を増やすより、学び直す内容と確認する問題を先生と絞ってください。宿題の変更は、現在の指導方針も確認して相談しましょう。
先生が答えまで導くと、自力で解けなくなりませんか?
学ぶ段階では、支援で理解できる一歩を作ることも大切です。ただし、誘導だけで終えず、支援を減らし、最後は本人が考え方を選んで解けるかを別に確かめます。
まとめ:正解の数より、「なぜその式か」から見直そう
家では解けるのにテストで解けないとき、頑張りが足りないと決めつける必要はありません。
チェックテストで確かめる。式と数字の意味を聞く。どの情報から何を思いつくかを言葉にする。定着が浅い単元から復習する。落ち込んでいるなら、一緒に進める一歩から始める。
今日試すなら、一問の「答え」だけでなく、「この式は何を求めている?」を確かめるところから。分からない場所が見つかったことは、次に何を学べばいいかが見えたということです。
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