中高一貫校で数学についていけない|授業が速いときの立て直しと親の支え方

壁の週間ボードで学習の予定を整理する中学生と、戸口から温かく見守る母親のイラスト
AIで生成した学習イメージです。実際の受講生を描いたものではありません。

「中高一貫校に入ったけれど、数学の授業についていけない。前の単元も分からないのに、学校はどんどん先へ進んでしまう……」

受験算数のころから苦手意識があり、数学になるとますます手が止まる。ママは大学受験も気になって、何から立て直せばよいか迷いますよね。

中高一貫校で数学についていけないとき、僕は現在の単元を起点にして、解くために必要な部分だけ学び直します。補ったら今の問題へ戻る。予習まで手が回らない段階では、1週間で学校が扱った内容を、次の1週間までを目安に自力で解けるようにしていきます。

これは「1週間で全部取り戻せる」という意味ではありません。今の授業と家庭学習の間で、分からないことを置き去りにしないための区切りです。

この記事は、中高一貫校の中1〜中3、とくに中2で授業の進度と家庭での理解に差が出ているご家庭向けです。学校によって進度・教材・提出課題は違います。学年名だけでなく、実際に今扱っている単元をもとに考えてください。

中高一貫校で数学についていけないとき、まず今の単元から見る

全学年を最初からやり直す前に、止まった箇所を探す

「前の内容が抜けているなら、中1の最初から戻ったほうがよいのでは?」。そう考えるのは自然です。

ただ、今の授業が進んでいる状況で、すべてを最初から学び直す時間は取りにくい。僕はまず、今取り組んでいる問題の、どこで分からなくなるかを確認します。

問題文は読めるのか。解説のこの一行は理解できるのか。途中式のこの変形はできるのか。「数学が全部分からない」という言葉を、そのまま全範囲の未理解と決めつけません。

分からない箇所を絞り、そこを補える内容だけ学び直す。そして今の問題へ戻って、実際に使ってみる。この行き来を繰り返すのが僕の進め方です。

今の授業へ戻るための、ピンポイントな学び直し
  1. ① 今の問題学校の単元で、止まる一行を見つける。
  2. ② 必要な部分その一行に必要な計算・意味を確認する。
  3. ③ 補って戻る手本や基本問題で補い、今の問題で使う。
  4. ④ 後日確認見ずに説明し、自力で使えるか確かめる。

③で再び止まったら、別の抜けがないか②へ戻ります。全員に同じ戻り先を指定する図ではありません。

学び直しは「公式を眺め直す」だけではない

基礎は、公式を覚えているかだけではありません。「なぜこの式になる?」「この数字は何を表している?」に答えられるかも大切です。

僕は本人に説明してもらい、分からなければ手本を見せます。次に似た問題で本人が説明し、解いてみる。「分かった?」へのうなずきだけで先へ進まないようにします。

単元ごとの戻り先を詳しく知りたい場合は、中学数学をどこからやり直すかの診断表をご覧ください。ここでは、学校の授業が進む中で、現在の問題へ接続することを中心にお話しします。

連立方程式で止まる中2の子なら、必要な計算だけ補って今に戻る

次は指導の順番を示す説明用の例です。特定の生徒の実話ではありません。

例:連立方程式の途中で、x=3が求まった

元の式が2x+y=7のとき、yはいくつでしょうか?

2 × 3 + y = 7
6 + y = 7
y = 1

ここで手が止まったとしても、すぐに「連立方程式が全部できない」とは判断しません。

  • x=3を式に入れる意味が分からないのか。
  • 2xを2×3に置き換えられないのか。
  • 6+y=7からy=1へ進む理由が分からないのか。

例えば最後の一行が分からないなら、両辺から6を引くとyだけが残ることを確認します。そこに必要な方程式の考え方を補い、同じ連立方程式の続きへ戻る。中1の教材を最初から最後までやり直すこととは違います。

もちろん、複数の箇所に抜けがあれば、戻る範囲も広がります。小さく補っても先へ進めない場合は、学校や塾の先生と、必要な基礎の範囲を確認してください。

別の式でも使えるか、確かめてみよう

3x+y=11で、x=2のとき、yはいくつですか? 何を置き換え、なぜその計算をするかも説明してください。

答えと確認すること

3×2+y=11なので、6+y=11。両辺から6を引いて、y=5です。

xの値を元の式へ入れる意味と、両辺に同じ操作をする理由を説明できるか確認します。この一問だけで、連立方程式の単元全体が定着したとは判断しません。

予習できないときは、学校の内容を1週間単位で定着させる

宿題でいっぱいなら、まず復習を置き去りにしない

僕が目指したいのは、予習をして、学校の授業を復習として受けられる状態です。ただ、今の内容も分からず宿題で時間が埋まっている子に、さらに大量の予習問題を足せばよいわけではありません。

予習まで取り組めない段階では、その1週間に学校で学んだ内容に該当する問題を、次の1週間までを目安に解けるようにする。まずこの区切りで見ていきます。

「今週の範囲」が広すぎるなら、先生と優先する問題を絞ります。全員に同じ問題数や毎日の時間を指定するのではなく、解説を理解する時間と、後日もう一度解く時間も含めて考えてください。

学校の内容を、次の1週間までにつなぐ確認表
場面本人が取り組むこと確かめること
今週の範囲を決める学校の単元・教材のページ・課題を確認する。「何をできるようにする週か」が具体的になっているか。
今の問題で止まった分からない一行を示し、そこに必要な内容だけ補う。補った内容を、元の問題で使えたか。
解説を理解したなぜその式になるかを説明し、後日見ずに解く。解き方を写すだけでなく、理由を言えたか。
次の1週間へ進むできるようになった範囲と、まだ止まる箇所を整理する。残った疑問を、次の相談へつなげられるか。

この表は家庭で使う整理例です。学校の予定や本人の理解に合わせて調整し、1週間という期限を子どもを責める材料にしないでください。

予習動画は「見るだけ」から始めてもよい

そのうえで僕は、次の授業に合う予習動画を見ることも勧めています。まとまった演習時間が取れなくても、隙間時間に次の内容へ触れる入口はつくれます。

ただし、動画を最後まで再生したことと、問題を解けることは別です。「この記号は何?」「この式は何を求めている?」など、分かったことと疑問を一つずつ残して授業へ持っていく。見た後には、学校の問題で使えるかも確認します。

教材の単元と合わない動画を探し続けるなら、先生に該当する教材や動画を相談しましょう。睡眠や休息を削って予習することを前提にはしません。

教材や塾を増やす前に、学校・塾の先生へ「止まる箇所」を伝える

学校が扱っている内容と、塾や家庭で勉強している内容が離れていると、何を優先するか分かりにくくなります。教材の冊数を増やす前に、今の授業への接続を確かめてみてください。

相談の際は、「数学が苦手です」だけでなく、実際に止まった問題を見せると話が具体的になります。

先生へ持っていく相談メモ

  • 学校で今扱っている単元と、教材のページ。
  • 提出期限・課題の範囲と、家庭で使える学習時間。
  • 一人で解けた問題、解説で理解できた問題、解説でも止まる問題。
  • 問題文や途中式の、分からなくなる一行。

「この範囲を次の1週間までに使えるようにしたいです。今優先する問題と、補うべき基礎を一緒に確認できますか?」

メモと相談文は、この方針を家庭で実践するための提案です。学校の指定課題を省いたり提出期限を変えたりするときは、担当の先生へ確認してください。

ママが解説できなくても、本人の疑問を先生へつなぐことはできます。家庭の役割は、数学の先生をもう一人増やすことだけではないんです。

受験算数も苦手だった子に「数学は無理」と決めつけないでほしい

足りないのは才能なのか、学び方と時間なのか

「受験算数も苦手だったし、この子は数学に向いていない」。ママも本人も、そう思い込んでしまうことがあります。

僕がまず伝えたいのは、今できないことだけで、この先もできないと決めなくてよいということです。

数学では、具体的な数を文字で表したり、いくつもの問題に共通する関係を考えたりします。目の前の一問を覚えるだけでは、別の問題で使えないことがある。だから僕は、数学の学習時間と学び方を、丁寧に見直したいんです。

「他の教科と同じ時間だけ座ったから十分」とは、僕は判断しません。解説の意味を理解する時間、考え方を整理する時間、自分で使えるように復習する時間が取れているかを見ます。必要な時間は、本人の状態と問題の難しさで変わります。

苦手意識があるときほど、「本当に必要な学習を、必要なだけできていたかな?」と確認してみてください。時間を増やすだけでも、方法を聞くだけでもなく、両方を整えることが大切です。

「あれ、できるかも」を、小さく確かめる

僕の指導では、分からないところを一緒に理解し、次に本人が説明したり解いたりできるところへ進めます。最初から全部を一人で解くよう迫るのではなく、手本や問いを使って支えるんです。

「自分にもできるかもしれない」と感じられたとき、取り組み方が変わっていく子を僕は見てきました。だから、その感覚を言葉だけで励ますのではなく、実際に理解できたこと、使えたことからつくっていきたいと思っています。

ただ、支援を受けて解けたことと、自力で使えることは分けて確認します。「一緒ならここまでできた。じゃあ、次はどこを自分でやってみよう?」。小さな次の行動を本人と選んでください。

勉強に手がつかない背景が、睡眠不足や学校での悩み、強い不安にあることも考えられます。僕はまず「元気?」から聞きたい。学習方法だけで説明しきれない状態なら、学校の先生や相談担当者へもつなげましょう。

立て直しは、点数だけでなく「説明」と「自力」で確かめる

一週間の取り組みを振り返るとき、ノートのページ数や動画の本数だけを数えないでほしいと思います。

  • 前に止まった一行を、今は自分の言葉で説明できるか。
  • 補った知識を、現在の学校の問題で使えるか。
  • 後日、解説を見ずに解けるか。条件が変わっても理由を考えられるか。

これは、これまで僕がお話ししてきた自力の確認を、一週間の振り返りに使う方法です。点数の変化がまだなくても、何を理解でき、どこに支援が必要かを把握する材料になります。

学んでいる途中に、自分の理解や方法を確かめることを「メタ認知」と呼びます。難しく考えなくて大丈夫。「何が分かった?」「どこで止まった?」「次はどうする?」と、自分の学び方を見直すことです。

英国の教育支援機関EEFも、学習の計画・途中の確認・振り返りを具体的に教え、教科の学習の中で使うことを重視しています。これは一律の成績改善や、僕の一週間の方針そのものを保証する研究ではありません。EEF「メタ認知と自己調整学習」(英語)

解説の読み方や、説明できるかを確かめる問いは、数学の問題集の1周目の進め方で詳しく紹介しています。

よくある質問と、今日からできる一歩

中高一貫校の数学は、最初から全範囲を復習すべきですか?

僕は今の単元を起点にして、そこで必要な内容だけ補います。抜けが広い場合は先生と戻る範囲を相談しますが、学年の最初へ機械的に戻すのではありません。

予習できないと、もう追いつけませんか?

まず、1週間で学校が扱った内容を次の1週間までを目安に解けるようにしていきます。余裕を見て授業に合う予習動画へ触れ、授業を復習として受ける状態を目指します。追いつく時期は個人や学校の進度で異なります。

大学受験が心配です。すぐに受験用の問題集を増やすべきですか?

今の教材のどこで止まるかを先に確認してください。志望校へ向けた計画は先生と相談しつつ、現在の内容を自力で使えるようにする。教材を増やすこと自体を立て直しのゴールにしないようにします。

ママが数学を教えられなくても、支えられますか?

はい。本人が元気か、どの問題で止まるか、いつ先生へ聞くかを一緒に確認できます。内容の説明や正誤の判定が難しいところは先生へ任せ、家庭で毎回言い合いになる形を続けなくてよいんです。

今日の一歩は、学校の問題を一問選ぶこと

「今の単元で、どの一行から分からなくなる?」と聞いてみてください。次に、そこを補うために何を確認するかを本人と先生につなぎます。

分からないところだけ補い、今へ戻る。そして次の一週間に、何を自分で使えるようにしたいかを決める。数学が苦手という言葉だけで終わらせず、今日変えられる学習へ、一緒に目を向けていきましょう。

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