「数学の問題集を開くと、すぐに答えを見てしまうんです。これで勉強になっているのでしょうか?」
ママとしては、まず自分で考えてほしいですよね。数学の学習が進み、宿題にも難しい問題が出てくる。ところが、子どものノートは解説とそっくり。その姿を見ると、心配になると思います。
数学の問題集は、1周目からすべて解ける必要はありません。僕は、1周目を新しい解き方や考え方を学ぶ機会だと考えています。
ただし、解説を写して終わるのとは違います。考える時間を決め、解説を一文ずつ理解し、式の意味や理由を自分で説明する。さらに、解説を閉じて使えるか確かめる。ここまでを学習の流れにします。
この記事は、主に中学生、特に中高一貫校の子どもの数学を支えるママへ、僕が指導で確かめていることをまとめたものです。ママが解き方を全部教えられなくても、学びを支えることはできます。
数学の問題集は1周目から解けなくていい?丸写しとの違い
まだ知らない解き方に出会ったら、その場で解けないこともあります。そこで「僕は数学ができない」と決めつける必要はありません。
僕が大事にしているのは、こなすことと、学ぶことを分けることです。空欄を埋めるだけなら、ノートは完成します。でも、次に自分で考えるための知識が増えたかどうかは、別の話です。
| 見るところ | 写して終える状態 | 学ぶために使う状態 |
|---|---|---|
| 分からない箇所 | 「全部分からない」のまま | 意味が分からない一文や式を特定する |
| 解説を読んだ後 | 同じ文字と式がノートにある | なぜその式になるか、自分の言葉で説明する |
| 次の確認 | ページが埋まったら終了 | 解説を閉じた解き直しや類題で確かめる |
手本を見ながら書くことを、すべて悪いと決めつけなくて大丈夫です。書いた式をどう理解し、どう使えるようにしていくか。そこを見てほしいんですね。
手が止まったら、考える時間を子どもと決める
僕は、問題に取り組む時間を計ります。そして、考えが浮かびそうなら、子どもにこう聞きます。
「あと何分必要?」
本人が必要だと思う時間を聞いて、タイマーで待ちます。全員に「必ず何分考えなさい」と同じ時間を当てはめるのではありません。
一方で、もう自力では進めないと判断したら、解説へ進みます。そのときは、一気に最後まで読むのではなく、一文ずつ区切って意味を確認します。
家庭で試すなら、「今、どこまで分かった?」「もう少し考えたら進めそう?」と聞いてから、本人と時間を決めてみてください。時間が来たら、どこまで進んだかを確認する。疲れ切っているときは、休憩や取り組む量の調整も必要です。
長く机に向かわせることだけを目的にしない。考える時間にも、解説を読む時間にも、学ぶための役割を持たせることが大事です。
解説を読んだら、一文ずつ理解して説明する
僕の指導では、まず解説を理解できるか確認します。分からないところは質問してもらい、僕が説明します。自学なら、教科書や参考書で調べたり、必要に応じて先生やAIの力を借りたりします。
理解できたと思ったら、今度は僕に説明してもらいます。そこで僕は、どんどん質問します。
- 「なんでそうなるの?」
- 「この意味は何?」
- 「この式は、どんな意味なの?」
- 「なんで、この式が出てきたの?」
問いに答えながら筋道を説明できたら、次の問題へ進む判断をします。ただ文章を覚えて読み上げられたか、ではありません。式や言葉の意味まで解釈できているかを見ています。
ママが同じように細かく質問できなくても、心配しないでください。「今日、分かるようになったところを一つ教えて」と聞く。それだけでも、提出ページ数とは違う話ができます。
- 考える時間を決める進めそうなら「あと何分必要?」。止まったままなら解説へ。
- 一文ずつ意味を確認する分からない行・式を特定し、質問や調べる行動へ。
- 自分の言葉で説明する式の意味・出てきた理由・使える条件を確かめる。
- 解説を閉じて使ってみる解き直しや類題へ。止まった箇所はもう一度確認する。
5STEPで、次の問題に使える知識にする
僕の5STEPは、①解説を徹底理解する、②解答に必要なポイントを抽出する、③なぜ有効か分析する、④使う条件を特定する、⑤復習して自力で再現する、という流れです。
その場で説明できたことと、後で自分だけで解けることは分けて確認します。説明の後は解説を閉じた解き直しへ。さらに、少し条件が違う問題でも、何を使えばよいか考えてみる。読んで納得したところで止めないための確認です。
「なぜこの式?」を確かめる、簡単な例題
ここからは、学び方を説明するための例題です。実在する生徒の答案や成果ではありません。
例題:1個120円のノートを何個か買い、代金の合計は600円でした。何個買ったでしょうか。ほかの料金はかからないものとします。
買った個数を x 個とすると、
120 × x = 600
x = 600 ÷ 120 = 5
答えは5個です。
解説が写せたら終わりではなく、例えばこう確かめます。
- 120は何を表している? → ノート1個の値段。
- 120 × xは何を表している? → x個買ったときの合計金額。
- なぜ600を120で割る? → 合計600円の中に、1個分の120円がいくつあるか求めるため。
- 答えの5は何? → 金額ではなく、買った個数。
解き方だけを覚えるのではなく、「1個の値段 × 個数 = 合計金額」という関係を取り出します。そして、送料など別の料金があれば同じ式のままでよいか、条件まで考えます。
この例題は簡単でも、確認する姿勢は中学数学にもつながります。解説の中の数字や式が、何を表しているのか。教材の難しい問題でも、同じ視点で一つずつ確認していきます。
分からない子への手本、ヒント、基礎確認、教材変更
自力で進めそうならヒント、分からなければ手本
僕は、自分でできそうな子にはヒントを出します。分からなければ、手本を見せます。
それでも意味がつながらないとき、いきなり「基礎がないから全部やり直し」とは決めません。まず、どこまで分かっているかを僕が確認します。必要な知識のどこに抜けがあるかを見てから、その部分を確かめます。
ママがこの判断まで一人で抱える必要はありません。「この解説の、この式から分からなくなっています」と先生へ伝えられれば、相談は具体的になります。
必要な学び直しの考え方は、中学数学はどこからやり直す?戻り先の診断でも整理しています。
次の教材へ進む目安は、順番ではなくランダムに確かめる
僕が次の教材へ進む目安にしているのは、1冊の教材からランダムに問題を出して、約8割以上解けることです。これは僕の指導上の目安で、学校の成績や合格を保証する基準ではありません。
問題の順番や直前の解説に頼らず解けるかを確かめるためです。苦手な単元を避けて選べば、確認が偏ってしまいます。解けなかった問題の意味も見直します。
「一周終わったから、もっと難しい問題集を買う」ではなく、今の教材から何を使えるようになったかを見る。学校指定の課題は、この判断とは別に先生の方針を確認してください。
「明日提出だから答えを写したい」と言われたら
僕がまず話し合うのは、「明日提出するものを、なぜ今日やることになったのか」です。責め続けるためではなく、次の行動を決めるために聞きます。
「締め切りを知らなかった?」「量の見積もりが違った?」「解説が分からなくて止まっていた?」。理由が違えば、次に変えることも違います。
疲れや体調、ほかの課題との重なりもあるかもしれません。遅れをすべて怠けと決めず、本人の話を聞いてください。
そのうえで、今できるところまで、理解しながら取り組む。
終わらなければ、原則として子ども自身から先生へ、どこまでできたか、なぜ終わらなかったか、残りをどうするか、次はどう進めるかを伝えるようにしています。説明が難しい場合は、保護者が橋渡しをして構いません。
できた範囲:____
止まった箇所・遅れた理由:____
残りへの取り組み方・期限の提案:____
次回はいつ課題を確認し、どう分けて進めるか:____
提出期限や方法を本人だけで変更するものではありません。先生に相談し、指示を確認します。
僕は、宿題を埋めるだけが教育の目的だとは考えていません。予定を立て、困ったときに説明し、次の対応を相談する。そうした社会で必要な力を学ぶ機会でもあると思っています。
もちろん、提出する責任をなくす話ではありません。分からないまま写して隠すより、学習状況を正直に伝え、次の行動まで話し合う。その経験を大事にしたいんですね。
AIは「写すため」ではなく「理解するため」に使う
僕は、AIを学習の心強いサポートとして積極的に活用したいと考えています。大事なのは、AIを使ったかどうかだけでなく、何を学ぶために、どう使ったかです。
解説の一文が分からないとき、別の説明をもらう。質問を整理する。理解した内容を自分で説明し直す。そういう使い方を勧めたいんですね。
「中学生です。解説の『合計金額を1個の値段で割る』という部分が分かりません。答えをそのまま書くのではなく、なぜ割り算になるかを簡単な数字で説明してください。その後、僕が意味を説明できるか、一問ずつ質問してください。」
AIは計算や説明を間違えることもあります。教科書や教材の正規の解答と照らし合わせ、食い違いが残れば先生へ確認してください。
利用前には年齢などサービスの条件と学校のルールを確認し、氏名・学校名など個人情報を入力しないようにします。提出物でのAI利用や記載方法も、先生の指示に従います。
文部科学省のガイドラインでも、学習内容の理解を助ける使い方と、生成物をそのまま自分の成果として提出する使い方は区別されています。詳しくは文部科学省「生成AIの利用にあたって」と、掲載されているガイドラインVer.2.0の学習場面・留意点を確認してください。
学んだことを、自分の言葉と式で書く。そして説明できるか確かめる。AIを使っても、学ぶのは子ども本人です。AIを使うだけで学力が必ず上がる、という話ではありません。
ママが今日できるのは「何ページ?」より一つの問い
ママが数学の先生になる必要はありません。最初は、一問についてこう聞いてみてください。
「この問題で、何が分かるようになった?」
説明してくれたら、途中で答えを急がせず聞く。分からないところが残っていれば、どの一文かを一緒に確かめる。細かな正誤を判断できないときは、そのメモを先生に渡します。
親がすべて管理するのでも、何も確かめず放っておくのでもありません。本人が決めて取り組み、その後に振り返る。僕が大切にする「任せ上手」は、ここまでを含めています。
今日の独習課題
- 問題集で、一度解説を見た問題を一問選ぶ。
- 解説の一文を選び、「意味」「その式を使う理由」「使える条件」を自分の言葉で説明する。
- 解説を閉じて解く。止まったら、どこで止まったかをメモして再確認する。
- 次の機会に、少し条件が違う類題でも使えるか試す。
先ほどの説明用例題で試すなら、1個150円、合計750円の場合を考えてみましょう。式は150 × x = 750、答えは5個です。数字が変わっても、使った関係を説明できるかまで確かめます。
よくある質問
1周目から答えを見ると、考える力がつかないのでは?
見るだけで終われば、理解や自力で解く練習を確かめられません。まず考える時間を決め、行き詰まったら解説を理解し、意味の説明と解き直しへ進む。解説を使うことと、考えることを対立させないのが僕の方針です。
解説は説明できるのに、自力では解けません。
その場で理解した段階と、自力で使える段階を分けて確かめます。最初の式で止まるのか、途中の計算で止まるのかをメモし、必要な部分をもう一度確認します。解説を見ずに解く機会も残してください。
ママが数学を苦手でも、確認できますか?
「どこが分かるようになった?」「どこを質問したい?」と聞く役割はできます。答えの正確さが判断できなければ、学校や塾の先生へ任せて大丈夫です。ママが一人で解説を背負う必要はありません。
8割解けたら、復習は不要ですか?
不要にはなりません。約8割は、僕が次の教材を検討するための目安です。残った課題や時間を置いたときの定着も確かめます。教材の目標や学校の進め方によっても判断は変わります。
1周目の価値は、最初から正解できた問題の数だけではありません。知らなかったことを理解し、次に自分で使えるようにすること。今日は一問だけ、「何を学べた?」から始めてみませんか。
LINEで参加するオープンチャット
成績爆上げママへの扉【LIFE CORE STUDY】
算数・数学の学び方や、子どもを支える関わり方に関心のあるママへ。メルマガに加えて、LINEオープンチャットへの入口もご用意しています。
素敵なママたちの仲間になるLINEの招待ページへ移動します。メールの登録フォームとは別の入口です。
